押し入れ改装記

December 24, 2012

詰めの作業、そして開店

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防火区域を室内側から作る。

薪ストーブ屋と珪酸カルシウム板は切っても切れない中とでもいうか、それほど多用する。例えばRC構造で周りが全てコンクリートなら不要だが、殆どの現場は木造で、そこでは不燃材が必要になるからだ。今や、屋外や小屋裏では二重断熱煙突が当たり前だが、それでも熱対策・そして結露対策を怠ることだけはできない。仕上げに近いがここは押さえて。

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炉台と既存の床の段差に框を設ける。

ビスでしっかり留めた後に、ダボでビスが見えないようにする。家具造りの手法だが、相棒が丁寧に作ってくれた。材料は安価なSPF材だが、オイルステインで後日塗って仕上げようと思う。

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結局、二台を並べて陳列。
煙突を繋いだのは、イントレピッドⅡ。

熱量では、アスペンでも十分な気もしたが、触媒のあるイントレピッドⅡは、熱効率が高く燃費が良いわけで、これに煙突を繋ぐことにした。口元から直ぐ上の1m程はヒートシールド付シングル煙突。昨今、業界では二重煙突がデフォルト化しているが、こういう小型ストーブに繋げる場合、シングル煙突の方が見た目のバランスが良く私は好きだ。国産のシングル煙突はとても精度が高く仕上げも美しい。

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工事完成祝いの会がスタッフ一同集合して寒い日に催された。

この冬は東京も冷え込み、薪ストーブの暖かさを改めて感じることとなった。毎日零下が続く八ヶ岳の山小屋では、日々薪をくべ、生活に欠かせなかったアンコール。それは小型になってもここ東京でまた再開されることに感謝。この素晴らしい暖房器具に乾杯だ。

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December 23, 2012

変則的屋根上工事

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屋根を切る。

昔のコロニアルは、アスベストが含有されているのでしっかりマスク。モルタルに近い硬さだからグラインダーにはダイヤモンドカッターを装着。今時のダイヤは中国製で異常に安価だが、それでもいい調子で切れていく。10年以上前だろうか、外壁の再塗装をした際、屋根も何か塗ったような気がするがよく憶えていない。それでも38年間という歳月、一度も雨漏りしていないのだからたいしたものだ。

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断面を撮ってみる。

何故か、野地板は二重に作られている。そしてコロニアル。重ねがあるので二重は解るが、ところどころ三重になっているところあり。しかるに全部の厚さはかなりのもの。切るのも大変だ。

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通常、コロニアルは開口部よりもずっと大きく剥離する必要がある。ステンレス製のフラッシングの底辺の大きさはこの屋根勾配なら1,050x860mmもあるからだ。煙突を固定するルーフサポートも野地板に屋根上から取り付けるから尚更。しかし、今回は敢えてもっと簡易的な方法を試してみることにした。

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雨水は傾斜に沿って流れていく。と、いうことで屋根材は軒から棟へ向かい重ねて貼っていくのが基本だ。通常、その中に埋め込むフラッシングは、同じ理屈で棟側は屋根材を覆い、軒側は外へ露出させる。両サイドは屋根材の中に入れ込んで横からの水の浸入に備える。しかし、剛性や厚さのあるステンレス製を使わずに、ペラペラのアルミ製フラッシングを使ってみた。普段あまり使わない部材だ。それを棟側の屋根材のみ差し込んで後はその下のルーフィングに水勾配に沿って流れるようコーキングで処理する。自分の家だから試せる方法。これでどの程度の耐候性があるか?

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ビスにはコーキング剤を塗ってねじ込む。ビス頭にもコーキング。フラッシング上に取り付ける、これまたふにゃふにゃのアルミ製ストームカラーにも念入りに。但し、これは温暖な東京だから使える部材であって、積雪地だったら簡単に潰れてしまうだろう。アルミ製はやはりステンレス製の中に「インナー」として使う程度が常識かもしれない。

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瓦屋根のようなフラッシングの仕上げ。

それにしても煙突が短い。これもあえてそうした。煙突の総長は、2.8m程しかない。最低でも5mはないとドラフトがうまく得られないという指針から考えると本当にこれで燃えるのか?と思った。二階に設置する、屋根高が取れない、という現場はこれまでも幾多あったと思うが、その燃え方を検証してみるつもりだ。

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December 21, 2012

薪ストーブ搬入

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なんだか機種がわかりませんが。

冬の東京の寒さと、設置場所の空間容積から鑑みると、自ずと小型の機種を選ばざるおえない。既にレゾリュート・アクレイムの展示品が玄関正面にあることもあって、二階にはイントレピッドⅡとアスペンを新たに導入することにした。軽トラで運送会社まで引き取りに行くと、荷台の大きさと二台分のパレットの大きさが合致して一度に載せることができた。本体の合計重さ210kg。鋳物の重量感たるや。

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二階まで内階段を使い運ばなければならない。できるだけ分解して軽量化を図るのは搬入の鉄則。ヨーロッパ製の薪ストーブの中には本体のパネル単位で分解できるものも多く、さすれば軽くもなるのだが、バーモントキャスティングスの場合、そうはバラバラにならない。そこは接合にセメントを多用している作りの弱点だ。それでも、アスペンは天板が簡単に外せるし、クリーンバーン方式の燃焼室は構造も単純だから分解は楽な方。

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いつものスタッフ二名により運び出し。二十代の筋骨隆々な青年でもいれば違うのだろうけど、私を含め枯れた中年トリオのウッドストックストーブの面々は身体を労りつつの作業である(苦笑)。
玄関までの平行移動までは良かった。が、心配した通り狭い階段を上げるのはなかなか厳しいものがあった。3名フル稼働につき、証拠写真撮れず…。この位の重量の薪ストーブが限界である。

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華奢な脚は後付け。そして、ボトムヒートシールドを付けて起こす。以上、搬入作業おわり。

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December 20, 2012

鋳物は重いんですよ

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いやいや細い…。

押し入れは人が歩く場所ではないからして床根太は貧弱であると予想はしていたものの、実際にこうやって開けてみるとその細さに改めて驚く。3x4cm程の断面だろうか、その上に5mmの合板が床板として貼られている。どうりで作業しているだけでもギシギシするわけだ。これでは薪ストーブは載せられない。

薪ストーブの設置工事は、既築で行う場合も多く、床の耐荷重は重要なポイントだ。軽くても100kg、重いものになれば200kg以上もある製品もあり、更に煙突も載るからしっかりとした床が求められる。

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さて、買い出しである。

大工ではないので、必要な材料の調達と加工はホームセンターを頼ることとなる。西へ一時間強走ると、プロも御用達のジョイフル本田があるので利用する。木材一本切るにしても、手鋸で切るより機械で裁断して貰えれば精度は高い。しかし、折角の精度も家が歪んでいて合わず苦心もあるのだが(汗)

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床板は、コンパネとした。@12

床材の下地としてよく使われるものだ。サブロク板のままでは車に載らないので適当なところで切ってあるから、それに合わせて根太の位置を調節する。軽トラが欲しいですな。

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そして、床補強。

3寸角の杉材に欠き込みを作り、既存の細い根太の間に更に取り付けていく。それにしても床下の懐が深い。構造補強の為に一部鉄骨の梁があるせいなのか建物外壁側の集成梁の高さは30cmもありそうだ。そしてふわっと昔々のグラスウール断熱材が載っている。ほぼ意味なし…。

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フローリング材に糊を。

黒い薪ストーブが映える床板は白系。そう思い、考えていたところにジョイ本でアウトレットの床材を見つけて購入する。一見して大理石のような柄だが、実態は樹脂である。ただ、かなり硬い素材で傷にも強いという説明で決断。フローリングは一坪単位の販売が普通だから余りは腰板にも使おうということになった。問題は耐熱性能だが、背面は安全距離を十分にとる。床は、薪ストーブにボトムヒートシールドがあれば熱の心配はあまりない筈だ。

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床材が三種類に…。

北側の床は、8年前にリフォームした際に貼り替えたもので店舗用の木目調シートである。南側は、建設当時のままのモザイク調の木製床材。そして真ん中が大理石調…。支離滅裂のようでもあるが、まあそのうち慣れるでしょう?段差無しのバリアフリーにしたくもこの二部屋の床レベルが元々違い断念したのであった。

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December 18, 2012

いよいよ開通なり

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間柱を切っていく。

一軒の間には、構造に関わる柱は建っておらず、しかし反対側の部屋の化粧合板を留める為にランダムな間柱がある。釘と接着剤で固定してあり、それを鋸で切る、インテリアバールで斫る、これまた簡単そうでなかなか進まない作業を淡々と進める他ない。改めて「釘」の威力を知る。塩梅よく木材に癒着していて、それは年月を経て釘穴が広がるどころか逆に締まっているから不思議だ。

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柱を抜いたところで、今度は反対側から化粧合板を鋸で切っていく。昭和50年にもなろうとしていたこの頃、この手の仕上げ用の合板が大流行。5mmも無い薄い板だが、乾いて糊が甘くなっているとはいえ、触らなければ表面は意外にイイ状態を保っている。以前は、あまり好みでなかったこの壁も最近では昭和な感じがなんとなく気に入っている。クロス貼りのように貼り替えることも必要ないし。

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ご開帳…。7畳と9畳の部屋がこれで一つになった。押し入れ部分の天袋は、煙突が貫通する部分以外を残した為、反対側から見ると押し入れの高さ分で開口になっているので若干低い感じはするものの、畳一枚分の床が広がったことで開放感はグッと増した。いやいや、ご苦労さん。

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December 17, 2012

ビフォーアフター

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中段の棚板から分解してみる。

流石に土壁という時代でもなく、ラス板にモルタル、そして漆喰?で内部の壁を仕上げてある。調湿作用があるのだろうか?この中に保存したものはあまりカビない。しかし、壊すのは大変そうだ。テレビのビフォーアフターではないけれど、スレッジハンマーで力任せにぶち壊す…。は、したくない。家の柱を残して全部解体、ではないからね。

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一部を金槌で叩いてみると、予想通りの作り。思ったより厚さがある。桟を留めている釘も太い。コースレッドがまだ無い時代、木と木の接合は枘と釘だけであったからインパクトでネジ逆回しで分解できるわけもなく、釘抜きで引っこ抜く作業がひたすら続いた。これが結構しんどい。

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壁をある程度の大きさに切って、あとは引っ張れば構造から剥がせることがわかり、小さくしているの図。粉塵が舞うのでマスクを付けて、押し入れはマスカーで覆ってなるべくその他が汚れないよう養生した。真壁は勿論残すわけでそこは傷を付けないように。丁寧に丁寧に。

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背面の漆喰壁を剥離したところで本日の作業終了。あともう少しでトンネル開通だ?

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December 14, 2012

屋根に上がってみる

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芯をとって。

押し入れ天袋の天井を取ると、僅か40cm程のところに屋根の野地板がある。出来上がっている屋根にルーフサポートを取り付けるより、天袋上部に煙突を固定する為の金具を固定することとなった。本来、この金具は煙突囲い内に使う為に作られたものだが、応用が利く部材である。薪ストーブの背面から壁までの安全距離を計算して付ける。枠は2x4SPF材。柔らかいがこれだけ厚みがあればしっかりしている。熱が伝わっても焦げないよう、珪酸カルシウム板を随所に貼っていく。

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煙突の中心線を出してみたところで、取り敢えず屋根に上がってみることにした。自分の家の屋根に上がるのは四半世紀ぶり?テレビアンテナ取り付けを自分でしたのはいつだったか。玄関上の屋根の雨樋部分にハシゴを落とし込んで立てる。しかし、ほぼ垂直に立っているのは非常に危険で、手前側の手すりと室内にある冷蔵庫にロープを回して固定することにした。薪ストーブ屋は鳶職ではない。高いところが得意でもない。

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一種住専地域であるからして、建物は10mの高さ制限がある。これは南側を望む写真で、西側は公園、真南はお隣さんだが建物の北側を見ているので大きな窓がある家は少なく、北風が吹く冬場には排煙がこちらの方向に流れても大きな影響が出にくいのが助かる。都市部では隣地が近いからそこは大事なところ。

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December 13, 2012

コンセプトを考える

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押し入れ天袋の上は直ぐに屋根。

建坪37、4LDKという間取りは、四人家族で標準的な大きさだ。建てた頃は、ここに親子三名と下宿人が住んでいた。そして今、下宿人はいなくなり、親一人。そして嫁がやってきて都合三名。しかし、不条理にも私と相方のスペースは二階の二部屋、計16畳分にしか過ぎない。ここにLDK、寝室、仕事部屋の使い方まで入れている。

二部屋は二つの押し入れを間に挟んでいる。その一つ分、幅一軒の押し入れを壊して二部屋を合体させる改装と、新たに薪ストーブの設置を行うこととした。真壁構造だ、一軒分位壁壊しても大丈夫でしょう?それより重さに床が耐えられるかの方が心配。当初、薪ストーブの位置ありきで考えたかったが、間取りから置く場所を決めざるおえなかったのは少し残念。二階の設置では自ずと煙突の長さが制限されるのでなるべく屋根高が取れる位置が望ましかったのだが…。

しかし、限られた環境の中で設置を考えるのもまた意味があると思う。都市部の薪ストーブ屋にはそういう課題もつきものだし、それを実践してみて得られるもの大かもしれない。いつも長野の山奥の現場でのびのび仕事ができるワケじゃないのだ。

・都市部で使われる事が多い機種を実機にする
・普段、あまり使わない煙突部材を使ってみる。
・短い煙突の場合、燃焼の塩梅はどんなものか?
・リフォームにおける手間の問題を検証。

営業面とは別に、試してみたいことは多々ある。薪ストーブ屋の工事の基本は設置そのものであって、そこには木工事・屋根工事・左官工事などは含まないのが原則ではあるが、この改装は全て自力ですることとした。良い材料と専門の職人を揃えれば仕事は短時間かつ綺麗に仕上がるのは当然だが、ローコストも今の時代には大事なファクター。それはお客様の希望でもあり、我々はバランスを考えなくてはならない。それも鑑みつつやってみよう。

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そもそも

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さて、工事開始。

「職住一体」がウッドストックストーブの実態である。

しかし、「店舗」だと思って訪れるお客様がいらっしゃることもまた事実。それは、薪ストーブそのものを見る機会がそうはないので、モノを確かめる為に店舗で実機を確かめようと考えるわけで、至極当たり前の理屈だ。それに応えることが出来ないことはずっと課題であった。

先代は、四谷の自宅で同じく職住一体を実践していて、店の構えこそ呈していないものの、訪れる人があれば実際に暖房器具として使っている薪ストーブを見て貰うことができた。これは営業面で大事なこと。しかるにこの狭いスペースに薪ストーブが置けるワケもなく…、と決めつけていた私は、はなから諦めていた。

義理の兄が、建築設計事務所を新たに開いて、しかし事務所は賃貸の集合住宅のままで、実際に訪れてみるとその同じスペースを家具や間仕切りを上手に使い、打ち合わせができる空間に変えていたのを見て、目から鱗が落ちた。狭い面積でも工夫でどうにかなるもので、風呂敷を広げずとも店舗化できるかもしれないと少し思った。

住宅地に建つ築38年の家は見た目冴えない。しかし、吉祥寺駅から歩いて10分少々。そこだけは利点。何もしないよりできる範囲で改装して、薪ストーブを入れてみる。意を決した晩秋。秋のメンテナンス巡業が終わったら実践だ。

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